harpaKatzeの英語勉強ブログ

英語の小説が読みたい,雑誌や新聞も読みたい,字幕なしで映画とか楽しみたい...

考察を少々

英語能力についての考察
英語に限らず,言語能力は「読む」「書く」「聞く」「話す」に分類することができる。自分が英語の勉強に力を入れ始めたそもそもの目的は「英語の小説が読みたい,雑誌や新聞も読みたい,字幕なしで映画を楽しみたい」だったので,その意味では「読む」「聞く」能力を高めればよい。しかし,言語能力というのはそこまで単純ではなくて,これら4つの能力が相関し合っている。例えば,英語で「話す」ためには,英語で考える能力を伸ばさなくてはならない。
 
仮に「読む」ときに,ついつい頭の中で日本語に翻訳してしまったり,いわゆる後ろ読みをしてしまうことがあるとすると,「話す」能力を高めることで,英語のまま読むことができるようになり,「読む」スピードが上がり,理解も深まるだろう。また「書く」ためには「読む」「聞く」以上に文法の知識がしっかりしていないといけない。「書く」トレーニングをすることで,正しい文法知識に基づく,深い読解力も身に付くだろう。つまり「小説を読む」ことが目的であっても,「読む」だけのトレーニングでは不十分だということだ。現在,語彙力増強を中心に行っている勉強法を,今後どのように発展させるべきか,考えてみる。
 
Reading
4つの英語能力の中で,語彙力と表現の理解力が最も 要求されるのは Reading であろう。書かれていることを正確に理解するためには,文法力も当然大切だが,文の構造が多少曖昧であっても,単語の意味が分かると,大体言いたいことがわかるので,語彙力は特に大切である。どのような語彙と文法を使って英語を書くかは,書き手に任されているため,読む立場からすると,どのような単語,表現,文法が出てきても対応できなくてはならない。その意味で,書物の精読で得られた語彙力は,他の3能力の土台となるだろう。単語は耳から覚えるという考え方もあると思うが,ネイティブではない日本人が,日本国内で学習するのであれば,まずは目で覚えるのが現実的ではないか。
 
Listening ではいちいち辞書を引くことはできないが,Reading であれば,辞書を引いてじっくり英文に向き合うことができる。Reading 能力を高めるには,ビッグ・ファット・キャット に書いてあるように,書物の精読と多読がなんといっても大切である。一方,本を読むことだけを考えれば,その正確な発音は知らなくても良いし,つづりがあやふやであっても問題ないため,知っている語彙であっても会話で使えないということもあり得る。従って Reading だけで全て事足りるということは絶対にない。基礎工事を終えたのに,家を建てずに放置するようなものだ。
 
Writing
日本語を母語とするからと言って,誰もがベストセラー小説を書けるわけではないように,英語を書くといったときに,何を書くかによって,求められる能力は変わる。小説執筆などは除外して,どの程度の作文能力が必要かと考えると,一般の人であれば,手紙,メール,日記やブログ程度の記述ができれば十分な言語能力だ。日常生活で日本語を書く機会を考えてみても,大体はこの範疇のレベルに収まる。そうは言っても,ブログで「自分の考えが正しく読み手に伝わるように,適切な文法で書く」には,それなりの能力が必要だ。会話では適当な「てにをは」も,作文するとなると,「私は」と「私が」では印象が変わるため,よく推敲しなくてはならない。推敲にはそれに見合った文法力と読解力が要求される。後は,趣味や職業に特有な表現などを身につけられれば完璧である。一般アメリカ人に,アパートの賃貸契約の契約書を(真っ白な状態から)書き上げろと言っても,普通は書けないはずだ。それは言語能力ではなく,契約書に関する専門知識がないからである。このような専門性の高いものは,ある程度フォーマットが決まっているのものが多いので,自分に必要なものに的を絞って身につければよい。例えば技術者なら,仕様書や作業指示書などが書けるように,その典型例を勉強しておくのは有用であると思われる。Writing は Reading と異なり,使う語彙を自分が選択できるため,一定レベルの語彙力があれば,たとえ最適な言葉が思い浮かばないとしても,代わりに優しい単語で説明調に書くことで対応できる。従って,Reading 程の語彙は要求されない。ただし,単語の正しい用法はきちんと押さえておく必要があるので,読書によって得られた受動的に活用できる単語を能動的に活用できる単語に格上げしていくことが求められる。Reading は語彙を量的に増やすのに対し,Writing は語彙の質的向上に効果的だ。チャット などの例外もあるが,一般に推敲が可能であるから,Speaking に求められる程の瞬発力は必須ではない。
 
Listening
Reading と同様,どのような語彙で何を話すかは話し手に委ねられているので,聞き手は何が来ても対応できるだけの能力が求められる。とは言え,求められる語彙力は Reading や Writing に比べれば低い。一方,情報取り込みの時間当たりの効率が最も良いのは Listening である。知らない単語は聞き取れないという原則を考えると,語彙力を高めるのが大切であるのはもちろんだが,知っている単語でも聞き取れないことがあるのが大きな問題である。特に日本語と英語の発音の違いから,日本人は Listening が苦手である。会話表現に特有の言い回し,特徴的な発音などを地道にトレーニングするしかないだろう。
 
Speaking
4つの能力の中では,語彙と文法に対する要求は最も低い。そもそも会話中でつかわれる語彙は,読解に必要な語彙力ほど高くないだろうし,いい表現が出てこない場合でも,簡単な言葉に置き換えることで対応できる。
文法も,日常会話程度を想定するのであれば,正確さについて,ある程度は融通がきく。仮に文法的に適切ではない単語の羅列でも,こちらの言いたいことが伝われば,コミュニケーションとしては成立している。もちろん,この場合,意思疎通の程度は限られるため,文法力を鍛えて,言いたいことが正しく相手に伝わる方が望ましいのは言うまでもない。会話中に辞書を引くことはできないので,英語で考えて,それを(ある程度)正しい発音で発信する瞬発力は必要だ。また,他の3能力と比べて,独学がしにくいのも特徴である。紙で書けば絶対に間違えないような文法事項も,口から出そうとするとぐちゃぐちゃになり,絶対知っているはずの単語であっても,必要な時に瞬発的に出てこない。'Did you had ... ?' とか 'He have ...' なんてつい言ってしまいそうだ。そう考えると,語彙力,文法力の「頭を使った」学習は Reading と Writing で行い,Speaking に関しては,それらの土台を元に,瞬発力を鍛える(=ある程度パターン化した英文を,口からすらすら出るまで練習を繰り返す)ことに注力するのが良いのではないだろうか。
 
今後の方針
精読と単語トレーニングにより,Reading 能力が少しずつではあるが向上しているのは実感できている。語学にゴールというのは無いのだろうが,とりあえずは最初に定めた,SVL12000 を受動的単語としてマスターするレベルに達するまで語彙力を鍛えるのが最優先。それまでは地道に精読,単語トレーニングを繰り返す。その他の能力は,この語彙力をベースに鍛えることにする。表現力,読解力を意識して文法力を向上させるのであれば,「English Grammar in Use」が有名だ。Speaking であれば「瞬間英作文」というのが自分の考え方に合っている気がする。映画を字幕なしで見るためには,どこかでListening 力の向上にも手を出さないといけないが,具体的なやり方はまだ考えが煮詰まらない。詳細は SVL12000 解脱をしてから考えることにする。